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語用論的言語障害について

以前より「語用障害」という用語、概念はありましたが定義はありませんでした。しかし、DSM-5で「語用論的言語障害」が定義されるようになりました。


診断基準

A.言語的および非言語的コミュニケーションの社会的使用における困難さ

(1)あいさつや情報を共有するといった社会的な目的でコミュニケーションすることの困難さ


(2)遊び場と教室でしゃべり方を変える、大人化子どもで話し方を変える、堅苦しい言い方を避けるなど、状況に合わせてコミュニケーションを変えることの困難さ


(3)会話であいづちを打つ、相互関係を調整するために誤解されたときに言い換える、言語的・非言語的な合図の使い方を理解するなど、会話や話術のルールに従うことの困難さ


(4)明確に指示されていないこと(例:推測すること)や字義通りであったりあいまいであったりすることばの意味(例:慣用句、ユーモア、隠喩、解釈の仕方によっては複数の意味をもつ語)を理解することの困難さ

(BCDは省略)

この診断名は自閉スペクトラム障害の対人関係障害の3つには該当するがこだわりがない場合、この診断名を参照すべきとのこと。


語用障害の背景には対人関係障害があることを前提にしています。

診断基準に当てはまるかどうかはともかく、言語能力は優れていてIQも高いが、子どもにも一般社会にもこのような問題を持つ人はいると思います。


最近は、成績良好でも集団に適切に参加できないと問題視される傾向にありますが、これもその一つです。


以前はアスペルガー障害または広汎性発達障害と診断されていたかもしれません。今はASD:自閉スペクトラム障害に統一されたので、ASDの行動特徴を少し持っているだけでは診断名がつかないので、この状態象は参考になるかもしれませんね。


この場合、言語指導というよりはSST(ソーシャルスキルトレーニング)が適切ですが、正常知能で語用の問題だけとなると一般に行われているSSTはすぐにクリアしてしまうと思われます。


現在、発達障害や自閉症の児童向けSSTの書籍も多数販売していますが、統合失調症(元々はソーシャルスキルを獲得していたが、病気の為に消失している状態)の方向けのプログラムをベースにしているので、なかなか上手く適用できません。


本人の能力・興味に合った個別のSSTが必要であり、そこがセラピストの腕の見せどころとなります。


(相馬敏郎)

 
 
 

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